事業レポート

レポーター・ほんだゆかりがキニナルスキニナルプロジェクトを実際に
体験!会場の様子を写真とレポートでご紹介します!
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美術館で、古典、現代音楽から童謡まで。魅力を堪能したコンサート

国宝・久能山東照宮展 ミュージアム・コンサート
文=ほんだゆかり
ミュージアム・コンサートは美術館の展覧会にあわせ音楽館が企画、美術館の多目的室や時には展示室などでコンサートを開く。展示と音楽をダブルで楽しむことができる、ちょっと欲張りな共同事業だ。「国宝・久能山東照宮展—家康と静岡ゆかりの名宝」に、音楽館が掛け合わせたのは、日本文化と流れゆく時代を感じられる邦楽コンサート。文楽や歌舞伎をテレビで見たりはするけれど、本格的な邦楽は初めてで興味津々で出掛けた。
演奏は、第7回「静岡の名手たち」オーディション合格者のおふたりが箏・三絃・うたを担当し、尺八を一管迎えて行われた。舞台をみると、あれ? お琴?のちほど伺うと、「琴(こと)」として知られている楽器は「箏(そう)」が正式名なのだという。琴は“きん”と読み、絃を支える支柱がない別の楽器。同様に、三絃は三味線の正式な名称で、こういった公式プログラムでは必ず“三絃”と記されているという。
箏と尺八で始まった一曲目は「春の海」、あ、知ってるこれ!お正月の定番としてテレビなどでもよく聞くあの曲!だけど、やっぱり迫力、風情がぜんぜん違う。イスを並べた目の前で演奏されているからか、音楽館での演奏とは格段に違う“近さ”が魅力だ。尺八に吹き込む息の深さ、演奏の間合いを合わせる呼吸まで伝わるような緊張感がいい。反面、曲間に演奏者がマイクを手にして、曲の背景や、邦楽のあれこれを判りやすく解説してくれたため、親近感も湧きとてもよかった。さらに、真っ白なインテリアでモダンな空間の多目的室に響く“和の音”が醸すコントラストも魅力のひとつになっていた。
箏の絃は糸と呼ばれ、絹製でたいへんデリケート。そのため細やかな調律が欠かせないという。普段なら、舞台に幕が下りたり、スタッフが現れ楽器ごとバックヤードへ下がって調律の作業するが、そもそも美術館には、そういったスペースがない。休憩時間には、目の前で行われる調律作業を、そんなエピソードや箏のあれこれを聞きながら興味深く拝見した。
前半は古典的な曲目で時代を感じる演奏を堪能し、後半は現代的な邦楽を楽しんだ。箏と尺八で奏でられながら、ジャズのようなテイストがあり、魅力の幅がぐんと広がっていく。アンコールになると「十五夜お月さん」や「砂山」など、身近で親しみある楽曲にあわせ「ぜひ一緒に口ずさんで」と呼びかけられて室内は「ふるさと」の大合唱に。迫力ある古典演奏はもちろん、親しみあるお話や参加する楽しさまで味わえた贅沢なコンサートだった。演奏の前後に展覧会へ行かれた方々には、さらに贅沢な1日だったろう。

ほんだゆかり

新聞編集や広告制作を経て、地元メディアで地域ポータルサイトの設計や運営に携わる。イベント主催、ビジネスプランコンテスト入賞、NPO設立アドバイザー、蕎麦食文化研究員、キモノdeおでかけ、ロードレーサー乗り等々。好奇心と行動力が尋常でない。
事業名 静岡・室内楽フェスティバル2014
国宝・久能山東照宮展 ミュージアム・コンサート
日時 2014年11月16日(日)15:00開演
会場 静岡市美術館 多目的室
概要 展覧会とともに日本の風情を味わう、箏・三絃・うたのコンサート。
講師 岡村慎太郎、岡村 愛(箏、三絃、うた)、柴 道香(尺八)

静岡市葵区御幸町4-1アーバンネット静岡ビル4階 TEL:054-255-4746
土・日・祝日を除く日の午前8時30分~午後5時30分まで
静岡市文化振興財団は本年設立20周年を迎えます。これを機に市民の皆様にさらに愛され親しまれる財団を目指し、当財団が管理運営する文化施設・生涯学習施設が連携し、「キニナルスキニナルプロジェクト」を実施することと致しました。 子どもから大人まで幅広い世代が参加でき喜んでいただけるように工夫をこらし事業を行いますので、皆様のご参加をお待ちしております。
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